Blogs
2025.10.20
PCの特徴から射出成形のポイントについてご紹介
PC(ポリカーボネート)は、エンジニアリングプラスチックの一種で、様々な特徴がある樹脂材料です。本記事では、PCの特徴から射出成形における注意点などについてご紹介します。ぜひご覧ください。
PC(ポリカーボネート)とは
PC(ポリカーボネート)とは、熱可塑性樹脂の非晶性樹脂で高い透明性や耐衝撃性が特徴のエンジニアリングプラスチックです。
PC(ポリカーボネート)の特徴
PCは耐熱性や寸法安定性に優れており、自己消火性樹脂である点が特徴として挙げられます。またPCは、耐薬品性に影響を受けやすいエステル結合を持ち、高温高湿環境下において加水分解を起こすことがあります。
さらに、PCはプラスチックの特性や性能をさらに向上させるため異なる2種のプラスチックを複合させやすいと言われており、様々な特性を組み合わせることで、幅広い用途に対応できる高性能なプラスチック材料です。
PC(ポリカーボネート)の射出成形における注意点
乾燥条件
PCの射出成形において、原材料に含まれる水分を除去するための乾燥工程が重要です。PCは吸湿性が高い樹脂であり、わずかな水分があると射出成形の高温下で加水分解を引き起こします。その結果、製品にシルバーストリークなどの成形不良が発生し、本来の耐衝撃性や機械的強度が大きく損なわれる可能性があります。
金型の温度管理
PCの射出成形時の金型温度は製品の寸法精度や内部応力、外観品質に直接影響を与える重要な要素です。PCは非晶性樹脂であるため、金型温度が低すぎると、溶融樹脂が型内で急激に冷却されることで製品内部に大きな残留応力が発生します。その結果、製品の耐衝撃性を低下させたり、クラックなどの成形不良が発生しやすくなります。
当社のPC(ポリカーボネート)の成形事例
OA機器用部品

こちらはPCアロイ材を用いたOA機器向け成形部品の事例です。
本製品ではφ11.8という厳しい寸法公差が設定されており、成形時に内倒れが発生すると開口部側が熱影響により収縮し、公差範囲を外れる懸念がありました。
そこで、金型調整の段階で両端の寸法が公差内に収まるように調整を行うとともに、コア部の冷却強化を検討して起型を実施することで、寸法精度を確保しました。
OA機器用プーリー

こちらはOA機器向けプーリーの成形事例です。
本製品は肉厚構造かつPC+GF材料を用いているため、円形部の寸法安定が難しく、成形時のヒケ発生が課題となっていました。そこで製品設計段階にて肉抜き構造をご提案し、外観品質と寸法安定性の両立を図りました。
あわせて金型設計ではスライド合わせ部の段差を抑える工夫を施すとともに、肉厚部の充填バランスを最適化するため、ガスベントを通常より多く設けて対応しています。
PC(ポリカーボネート)の射出成形は当社にお任せください
いかがでしたでしょうか。今回は、PCの特徴、射出成形のポイントについてご紹介しました。ジュラロン工業株式会社では、PCの成形実績が豊富にあり、月産5,000,000個の加工に対応可能です。ぜひお気軽に当社にご連絡ください。
ジュラロングループについて
ジュラロングループは、日本本社を中心に、ベトナム・香港・中国に拠点を展開し、
エンジニアリングプラチックを主体とした精密部品の開発・製造・販売に加え、
光学設計・レンズ成形、超精密金型および部品の加工/製造を行っています。
下記WEBサイトにて情報を発信していますので、ぜひ当社の取り組みをご覧ください。