2025.11.17

POMの特徴から射出成形のポイントについてご紹介

POMは、エンジニアリングプラスチックの一種で、様々な特徴がある樹脂材料です。本記事では、POMの特徴から射出成形における注意点などについてご紹介します。ぜひご覧ください。

POMとは

POM(ポリアセタール)は、結晶性のエンジニアリングプラスチック(エンプラ)に分類されます。このPOMは、優れた耐摩耗性と高い機械的強度を兼ね備えており、荷重がかかる環境や繰り返し摩擦が生じる箇所での使用に適しています。また、多くの有機溶剤に対して強い耐薬品性を持つことも特徴の一つです。これらの特徴から、POMはギヤなどの精密機械部品や摺動部品として、幅広く使用されています。

POMの射出成形における注意点

以下に、POMの射出成形における注意点をご紹介します。

ジェッティングの発生

POMの射出成形では、ゲート径が小さすぎると樹脂の通過速度が早まり、放出されることで、その樹脂が固化しやすくなります。その結果、製品表面に筋状の不良(ジェッティング)が発生します。

ジェッティングを防ぐには、樹脂温度を上げることで、樹脂の固化を防ぎつつ、ゲート位置での射出速度を一定の速度まで低下させる必要があります。

ボイドの発生

POMの射出成形では、①肉厚部の収縮によるボイド(真空泡)、②ガスの発生や空気の巻き込みによるボイドが発生することがあります。ボイドは、成形品の外観や強度に悪影響を及ぼすため、適切な対策を行う必要があります。

具体的に、①ボイド(真空泡)の対策としては、製品形状の変更(例:肉厚部を薄くする)、成形後に急冷を行うなどが挙げられます。②ガスの発生や空気の巻き込みによるボイドへの対策としては、金型内にエアベントを設置することや、定期的な金型メンテナンスが有効です。

当社のPOMの成形事例

OA機器用ギア

POMの特徴から射出成形のポイントについてご紹介 | JURARON INDUSTRIES HAI PHONG

こちらは、POMを用いて製作した外径36mm・高さ27mmのギアです。形状的に寸法公差を守ることが難しい部品ですが、加工条件の最適化や成形時の工夫により、両歯面全噛み合い誤差112μm、両歯面1ピッチ噛み合い誤差26μmという精度を達成しています。

一方で、本製品には一部に肉厚となる箇所があり、成形収縮によるへこみ(ヒケ)の発生が懸念されました。そのため、肉抜き形状を設けて厚みを均一化し、成形時の歪みやヒケを抑制することで品質不良の発生を防止しています。

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OA機器用遮光部品

POMの特徴から射出成形のポイントについてご紹介 | JURARON INDUSTRIES HAI PHONG

こちらは、POM材を使用した外径31mm・高さ27.2mmの遮光部品です。OA機器において、白黒/カラー切り替え用センサーに外光が入り込まないよう遮光する目的で使用されています。

本製品には一部に肉厚となる箇所があり、成形時の収縮によってヒケが発生する可能性が懸念されました。そこで当社では、肉抜き構造を設けて厚みを均一化する設計を提案し、ヒケや歪みの発生を抑制しました。さらに、リブ形状を追加することで剛性を高め、変形しにくい構造とすることにも成功しています。

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POMの射出成形は当社にお任せください

いかがでしたでしょうか。今回は、POMの特徴、射出成形のポイントについてご紹介しました。ジュラロン工業株式会社では、POMの成形実績が豊富にあり、月産10,000,000個の加工に対応可能です。ぜひお気軽に当社にご連絡ください。

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ジュラロングループについて

ジュラロングループは、日本本社を中心に、ベトナム・香港・中国に拠点を展開し、
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