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2026.03.12
PPSの特徴から射出成形のポイントについてご紹介
PPSは、スーパーエンジニアリングプラスチックの一種で、様々な特徴がある樹脂材料です。本記事では、PPSの特徴から射出成形における注意点などについてご紹介します。ぜひご覧ください。
PPSとは
PPSとは「ポリフェニレンサルファイド(Polyphenylene Sulfide)」の略称であり、耐熱性や耐薬品性に優れたスーパーエンジニアリングプラスチックです。融点は約280℃と高く、長期間高温環境にさらされても性能を維持できることから、自動車のエンジン周辺部品や電装部品などに多く採用されています。
また、PPSは吸水率が非常に低く、湿度の影響を受けにくい材料です。そのため、温度や湿度の変化による寸法変化が小さく、高い寸法安定性を維持することができます。さらに、難燃性が高く、自己消火性を持つ材料であるため、電気・電子機器の部品としても多く使用されています。
一方で、PPSは結晶性樹脂であるため、成形条件や金型設計によって結晶化度が変化し、機械特性や寸法精度に影響を与えることがあります。そのため、射出成形では材料特性を踏まえた適切な成形条件の設定が重要になります。
PPSの射出成形における注意点
PPSは優れた性能を持つ一方で、射出成形では特有の注意点があります。材料の特性を理解したうえで、成形条件や金型設計を適切に設定することで、品質の安定した製品を製造することが可能になります。
金型温度の管理
PPSの射出成形では、金型温度の管理が非常に重要です。一般的にPPSの金型温度は120~160℃程度で設定されることが多く、適切な温度管理を行うことで結晶化が安定し、機械特性や寸法安定性が向上します。
金型温度が低すぎる場合、樹脂の結晶化が不十分となり、強度や耐熱性が低下する可能性があります。また、外観不良や内部応力の増加につながることもあります。反対に金型温度が高すぎる場合は、成形サイクルの長期化や金型トラブルの原因となるため、製品形状や肉厚に合わせて最適な温度設定を行うことが重要です。
繊維配向による強度のばらつき
PPSはガラス繊維強化グレードが多く使用される材料であり、成形時の樹脂流動によって繊維配向が発生します。繊維の配向方向によって強度や剛性が変化するため、部品形状によっては強度のばらつきが生じることがあります。
特に、流動方向と直交する方向では強度が低下する傾向があるため、ゲート位置や樹脂の流れを考慮した設計が重要になります。強度が必要な箇所に対して繊維配向が適切になるよう、ゲート配置や流動バランスを検討することで、製品の信頼性を高めることができます。
バリやウェルドラインの発生
PPSは流動性が比較的高い材料ですが、ガラス繊維などのフィラーが含まれることで樹脂の流動挙動が複雑になります。そのため、成形条件によってはバリやウェルドラインが発生することがあります。
ウェルドラインは、樹脂の流れが合流する部分に発生するライン状の痕跡であり、外観不良だけでなく強度低下の原因となる場合があります。特に小物部品では肉厚が薄くなることが多いため、樹脂の流れをスムーズにするゲート設計や適切な射出速度の設定が重要になります。
また、金型の合わせ面精度が低い場合にはバリが発生しやすくなるため、金型加工精度やメンテナンスも品質確保の重要なポイントとなります。
成形収縮と寸法精度
PPSは寸法安定性に優れた材料ですが、結晶性樹脂であるため成形収縮が大きいです。特にガラス繊維強化グレードでは、繊維配向によって収縮率が異なるため、部品形状によっては反りや変形が生じることがあります。
このような問題を防ぐためには、金型設計段階で収縮率を考慮した寸法補正を行うことが重要です。また、ゲート位置や肉厚バランスを適切に設計することで、収縮による変形を抑制することができます。
さらに、冷却条件や保圧条件を適切に設定することで、成形収縮を安定させ、寸法精度の高い製品を製造することが可能になります。
PPSは高機能材料として多くの分野で採用されていますが、その性能を十分に発揮させるためには材料特性を理解したうえで適切な射出成形条件を設定することが重要です。設計段階から材料特性を踏まえた検討を行うことで、品質の安定した部品製造につながります。
当社のPPSの加工事例
住宅設備用ケース

こちらは、外径φ28.5×高さ16.5mmの住宅用ケースの成形事例です。
本製品は材料の異方性が大きく、寸法ばらつきが発生しやすい形状であったため、通常の条件では寸法公差内に収めることが難しい部品でした。そこで、成形条件や金型設計に工夫を加えることで、安定して寸法公差内に収まる成形を実現しています。
また、量産工程ではガスベント部にMD(モールドデポジット)が蓄積しやすく、ガスヤケによるショートショットが発生するリスクがありました。その対策として、定期的に金型の清掃やメンテナンスを実施することで、成形不良の発生を抑え、安定した製品品質を維持しています。
OA機器用ギア

こちらは、材質に**PPS樹脂+PTFE(フッ素系樹脂)ミネラル50%**を使用した、外径φ28.8×高さ16.5mmのOA機器向けギアの成形事例です。
本製品では、CAE解析を活用して最適なゲート位置を検討・選定することで、樹脂の流動バランスを最適化し、安定した品質を実現しています。
また、量産時の品質を維持するため、規格外品の発生を抑制する目的で定期的な金型メンテナンスを実施し、成形状態を良好に保つ取り組みも行っています。
当社では、PPS樹脂を用いた射出成形の実績を多数有しております。PPS樹脂の成形でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
PPSの射出成形は当社にお任せください
いかがでしたでしょうか。今回は、PPSの特徴、射出成形のポイントについてご紹介しました。ジュラロン工業株式会社では、PPSの成形実績が豊富にあり、月産500,000個の加工に対応可能です。ぜひお気軽に当社にご連絡ください。
ジュラロングループについて
ジュラロングループは、日本本社を中心に、ベトナム・香港・中国に拠点を展開し、
エンジニアリングプラチックを主体とした精密部品の開発・製造・販売に加え、
光学設計・レンズ成形、超精密金型および部品の加工/製造を行っています。
下記WEBサイトにて情報を発信していますので、ぜひ当社の取り組みをご覧ください。