Blogs
2026.05.18
高精度な位置決めボスを実現する精密射出成形技術
精密射出成形において、位置決めボスは部品同士の組付け精度や駆動部品の動作安定性を左右する重要な形状です。特に小物精密部品では、わずかな寸法ズレや反りが組付け不良、ガタつき、動作不良につながるため、成形性を考慮した設計が欠かせません。本記事では、位置決めボスが求められる用途から、精度不良によって起こるトラブル、高精度な位置決めボスを実現するための設計ポイントまで解説します。
位置決めボスが求められる小物精密部品の用途
位置決めボスとは、部品同士を正確な位置に合わせるために設けられる突起形状のことです。ねじ締結用のボスとは異なり、相手部品の穴や凹部に嵌合させることで、組付け時の基準位置を決める役割を担います。
精密射出成形で製作される小物部品では、製品サイズが小さい分、わずかな寸法変化が機能に影響しやすくなります。そのため、位置決めボスには外径寸法、真円度、成形後の反り、周辺形状とのバランスなどを考慮した高い成形精度が求められます。
駆動部品の位置合わせ
ギア、レバー、プーリーなどの駆動部品では、構成部品同士の位置関係が動作性能に直結します。位置決めボスの寸法精度が安定していない場合、軸位置のズレや部品間の干渉が発生し、摺動不良や異音、動作トルクのばらつきにつながることがあります。
組付け精度が求められる筐体・ケース部品
電子機器、OA機器部品、産業機器などに使用されるケースでも、位置決めボスは重要な役割を果たします。上下ケースの嵌合、基板の固定、内部ユニットの位置合わせなど、複数部品を正確に組み付けるための基準となります。
位置決めボスの精度が低い場合に起こる不具合
位置決めボスは小さな形状でありながら、製品全体の組付け精度や機能性に大きく影響します。
組付け時に位置ズレが発生する
位置決めボスの外径寸法や位置精度が安定していない場合、相手部品との嵌合位置がずれ、組付け時に部品同士が正しく合わなくなることがあります。ボスが太すぎると挿入しづらくなり、細すぎるとガタつきが発生します。
駆動部品の動作不良につながる
駆動部品において位置決めボスの精度が不足すると、部品同士の基準位置がずれ、動作不良につながることがあります。例えば、ギアの噛み合い位置がずれると、回転時の抵抗増加や異音、摩耗の進行が発生する可能性があります。
ヒケ・反りによって寸法が安定しない
位置決めボスは製品本体から立ち上がる形状であるため、根元部分に肉厚が集中しやすくなります。肉厚が過大になると、樹脂の冷却収縮が大きくなり、表面のヒケや内部のボイド、周辺部の反りが発生しやすくなります。
高精度な位置決めボスを実現するための設計ポイント
ボスの肉厚を適正化する
位置決めボスの設計では、まず肉厚の適正化が重要です。ボスの肉厚が厚すぎると、冷却に時間がかかり、ヒケや反り、寸法ばらつきの原因になります。一方で、薄すぎると強度不足や成形不良につながる可能性があります。
一般的には、ボスの肉厚は周辺の基本肉厚に対して過度に厚くならないように設計します。特にボスの根元部分は厚肉になりやすいため、必要に応じて肉抜きや形状調整を行い、均一な肉厚に近づけることが重要です。
リブで補強しながら変形を抑える
位置決めボスに強度や剛性が必要な場合、単純にボスを太くするのではなく、リブを活用して補強する方法が有効です。リブを設けることで、過度な肉厚増加を避けながらボスの倒れや変形を抑えることができます。
ただし、リブも厚くしすぎるとヒケや反りの原因になります。そのため、リブの厚み、高さ、配置、本数を適切に設計する必要があります。ボス周辺に複数のリブをバランスよく配置することで、成形時の収縮バランスを整え、位置決め精度を安定させやすくなります。
抜き勾配を考慮する
射出成形品では、金型から製品を取り出すために抜き勾配を設ける必要があります。位置決めボスに抜き勾配が不足していると、離型時にボスが変形したり、白化や傷が発生したりする可能性があります。
一方で、抜き勾配を大きくしすぎると、ボスの先端側と根元側で寸法差が大きくなり、相手部品との嵌合精度に影響する場合があります。そのため、求められる位置決め精度と成形性のバランスを取りながら、適切な抜き勾配を設定することが重要です。
当社の高精度な位置決めボスの成形を行った加工事例のご紹介
OA機器用部品

こちらは、OA機器向け部品の射出成形事例です。本製品は、取付用の位置決めボスにおいてφ0.1以下の位置精度、さらにφ0.05以下の直角度が求められる高精度部品です。成形品に反りや変形が発生すると要求精度を満たせないため、成形条件の許容範囲が非常に狭くなります。そのため、多段射出速度を用いた精密な条件設定を行い、安定した品質を維持できるよう厳密に管理しています。
精密部品の射出成形ならジュラロン工業にお任せください
今回は、高精度な位置決めボスを実現する精密射出成形技術についてご紹介しました。ジュラロン工業株式会社では、15t~100tまでの射出成型機を取り揃え、精密ギアなどをはじめとした様々な小物精密部品の成形実績がございます。お困りの方はお気軽に当社にご連絡ください。
ジュラロングループについて
ジュラロングループは、日本本社を中心に、ベトナム・香港・中国に拠点を展開し、
エンジニアリングプラチックを主体とした精密部品の開発・製造・販売に加え、
光学設計・レンズ成形、超精密金型および部品の加工/製造を行っています。
下記WEBサイトにて情報を発信していますので、ぜひ当社の取り組みをご覧ください。